印刷 高速道路 1000円 機械仕掛けの林檎 すべからく溺死・前編 忍者ブログ
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 再会後のジョアシ。エリオットの詩を読んでてもやもやしたので書いてみた。
 え、これなんて少女漫画?なただのエロ。

※エロ描写がクドイので注意。未成年者閲覧禁止。
 ゲイとかホモはイヤ、BLは平気、という方は特にご注意。

 すべからく溺死

 We have lingered in the chambers of the sea
 By sea-girls wreathed with seaweed red and brown
 Till human voices wake us, and we drown.
(赤茶けた海藻の冠を戴いた人魚たちに誘われるまま
 私たちは海の底に留まり続ける
 誰かの声で目覚めるまで 私たちは溺れていく)

 『The Love Song of J. Alfred Prufrock』より引用--(意訳:デラ)


「あんたに来て貰って、良かったかも知れねえなあ」
 阿紫花は呟いた。
「賭け事はかなり好きですけどね、金以外のモン賭けろって言われっと、あたし冷めちまう性分でね」
 窓から薄汚い街を見下ろし、阿紫花はベッドに腰を下ろす。
「最初はまともなカジノで遊んでたんですがね、一応ましな身なりで……。勝ちやしたよ。あたし弱くねえもの」
 ロンドンも場末になると、治安が悪く喧騒が絶えない。フウの屋敷に直行せずジョージが案内したのは、何故かそんな場末の安宿だった。
 窓からは酔っ払いのケンカの怒声、隣室からは売春婦の喘ぎ声。今もギシギシというベッドのきしみが耳につく。
 反りの浮いた木の壁に背を預け、ジョージは腕を組んで足元を見下ろしている。何を考えているのか、上等な黒のコートにささくれた木の端が引っかかろうとお構いなしだ。
 阿紫花は窓を見下ろし続け、
「あたしと張り合おうてえヤツもいやしたけどね。言葉分からねえフリしてたら、チップ配りに、ボウヤ体は賭けねえのか、とか吐(ぬ)かされてよ。フランス語で返したら目丸くしてやんの。あと、金持ちだかなんだか知らねえけど、変なゲイのジジイにも絡まれるし。笑えンでしょ?こんなオッサンのケツ追っかけてよ。カジノ出たら尾けてきた男に銃突きつけられて、ケツ出せとか言われたりよ」
「……窓を閉めろ」
 ジョージは阿紫花を見ずにそう言った。
「もう見飽きただろう。そこからじゃ何も見えないんだろう?」
「……金に明かせてあたしでヒマ潰そうとするヤツに飽きちまってね。場末の賭場に行ったんでさ。金のねえ連中相手なら、こっちを殺しても金欲しいってモンだろうと思ってさ。でもおんなじこってしたよ」
「窓を閉めろ」
 ジョージが近づいてきて、窓を下ろした。
 手を伸ばせば、抱きしめる事も出来る距離だ。それなのにジョージは阿紫花を見ない。
 阿紫花はジョージの横顔を見上げ、離れた耳元に囁くように喋り続ける。縋るような声音にも聞こえただろうに、ジョージは動かない。
「二言目には、あたしと寝ないかって、そんな賭けの話ばっかりさ。……賭場で色気出したって仕方ねえや。風呂入らねえで、髭も髪の伸ばし放題で汚ねえシャツ着て、……それでもしつこいヤツはしつこかったけどな。最悪な話でさ。こんなオッサンでも、何人がかりだか忘れたが掘ってやろうって連中もいたっけな。薬飲まされてね。……ケツは痛ェし、服破られるし……まあ、殺されなかっただけマシってなもんですかねえ。金持ってかれたけど」
「反撃しなかったのか」
 ジョージは窓を見つめたまま問う。阿紫花は目を細め、
「そのまま殺されちまっても仕方ねえとしか思ってなかったんでね。反撃か。そう言われっと、そうでやすかねえ。あんたらしいや。プライド高いあんただもの、男にヤられた事なんてねえんだろ」
「ないな。……」
「だと思った。じゃあ分からねえよ。……」
 阿紫花は怒るでもなくそう言うと、ごろりとベッドに寝転がった。
「で?こんな安い宿に何の用があるんで?とうとうフウのジイさん破産したとか?だったらあたし元の賭場に戻りやすよ。……」
「三日、ある」
「へ?」
 阿紫花が身を起こすと、ジョージはサングラスを外しベッドを見下ろしている。
「三日後、フウの屋敷に行く。……」
「……それまで、どうするってんでさ」
 言葉にしなくても分かっている。
 ぎしぎしと軋む隣室のベッド。
 女の喘ぎ声。窓から差し込むネオン。
 銀髪が、窓からわずかに差し込んだショッキングピンクのネオンサインに照らされている。
 言葉に出来ずに項垂れるジョージを見上げたまま、阿紫花は、もう分かりきってそれを見上げる。
「私は、……」
 言いかけて、手袋のはまった両手でジョージは顔を覆う。
 羞恥ではない。泣いているのでもない。
 迷いや慙愧、とまどいや、そして阿紫花の思いもよらない事象の様々に揺れている。

(らしくねえよ、ジョージ)
 阿紫花は目を見開く。
 抱かれに来た訳ではない。ただ形は違えど、こうなるとは思っていた。だが阿紫花は、ジョージにしたらこれはきっと純粋に退屈しのぎなのだろうと勝手に決め付けていた。ジョージが自分との事で、こんな風に動揺するはずがないと思っていた。
(あたしなんか好きじゃないって言ってたあんたが)
 好きだと言われた事などない。抱かれはしたが、合意でもない。
 だが触れる指は、誰よりも優しかった。これまで触れたどの指より。 
(あんな触れ方しといて、今さらどう言い繕うってんだ。あたしに--あんな)
 もう一人では眠れない。
(言えよ!言いやがれ!あたしを抱くんだって、あたしを、メチャクチャにしてやるんだって!もうあんた以外の誰と眠れるってんだ!)
 その輪郭に憎しみすら滲む心臓で、阿紫花の心が叫ぶ。
(あんな、あたしの何もかも攫ってくような抱き方して!言えよ!あたしを抱きたいって!あたしを、--愛してるって言いやがれ!)
 怒りと愛情が入り混じった叫びを、阿紫花は心の中で繰り返す。しかし、
「……おこがましいだろう」
 ジョージは呟き、顔を覆い嘆くように背を丸めた。
「今更君を、……」
 嘆くように、ジョージは黒い手袋で顔を覆った。
 何を思い出しているのか。
 阿紫花と出遭ってからの事か。それともそれ以前か。それは分からないが。
 色を変え続けるネオンで輝く銀髪と、真っ黒い手袋を見上げていると、
 すべて受け入れていいような気がした。
 ただ名前を叫びたい。そんな気持ちを、阿紫花は思い知った。
「ジョージ」
「……」
「ジョージ、ジョージ」
 阿紫花の連呼に、ジョージは阿紫花を見る。
 叫び出したいような、縋りつくような。
 そんな目で、阿紫花は両手を広げた。
 受け入れる、という言葉の代わりに。
「……」
 一瞬、ためらうように何か言いかけ。
 しかしジョージは何も言わず阿紫花を抱きしめた。

 ざらりと髭が頬を擦った。
「ン……シャワー、浴びて……髭剃って来やしょうか?……」
 ベッドに押し倒される形で口腔を貪られていた阿紫花がそう問うた。
「髭あンのは……萎えるってモンでしょ……」
「このままでいい。三日しかない」
 阿紫花のべたつく髪に指を通し、阿紫花を抱き込んだジョージは何度も口付ける。宝物にするような指で。
「は……」
 そんな指先を裏切った貪るようなキスを交わしながら、互いに相手の服をむしろうと懸命にまさぐった。阿紫花のシャツのボタンが飛んだが、それを意識の片隅に置く余裕は無い。
 どちらのものとも分からぬ唾液を啜りながら、相手の肌に触れようともがく。
「脱いで、脱いで--全部、脱いで」
 急かすように阿紫花が言うと、ジョージは阿紫花の腰の辺りに跨るようにして身を起こしコートの襟を開き、ボタンを外す。袖や頭を抜いて、およそコートらしくない脱ぎ方をして、ジョージはコートを床に放った。
 黒いランニングを脱ごうとしたジョージに、阿紫花は手を伸ばし、
「こっちのが先」
 ベルトの金具を外した。前を開く。下着も黒い。
 その奥にある銀色の毛に触れようとするが、それより先に、ランニングを脱いだジョージに動きを封じられるように抱きしめられた。
「待って、はは、ジョージさん……」
「待たない」
「ブーツ脱いだら?行儀悪ィよ。それとも下、履いたまましやすかい?あたしはいいけど。体位変えてブーツ当たったら痛ェだけだもの」
 じゃれるように軽口を叩き、阿紫花はジョージの背を抱きしめた。
 小さく唸るように呻き、ジョージは抱きしめられたままブーツの金具を外し、まだるこしそうにブーツを脱いだ。
 阿紫花は笑う。
「がっつきなさんなって。逃げねえよ」
「逃がさないのに?」
「言うねえ。ジョージさん、しばらく見ねえうちにハラ据わったんじゃねえですかい?前よりあんた……」
 人間らしくなった、と言いかけて阿紫花は止めた。
 自分はどうなった?何か変われたものが一つでもあるか?
 賭け事ついでにケツ掘られたり、マワされてただけのあたしが。
 すべての答えをどこに見つけていいのか分からず、阿紫花は紛らわせるためにジョージの唇に吸い付いた。

 苦いキスだ。
 ジョージは思う。
 これは慣れる味なのだろうか。タバコの味はこんな味なのだろうか。
 阿紫花が抱いた女どもは、多分この味を知っているのだろう。どんな女どもかは知らないが、まあ昨今の女性はタバコを吸う自由を与えられているのだし、女の方もニコチンまみれなら気にならないか。
 苦いキス。女どもがどれだけこの味を知っていたとしても構いはしない。
「ジョージ、……ハ……っ、ふ」
 後孔を指で開かれ、ローションでぬるついた其処をひくつかせ、阿紫花は耐えるように顔を背けている。足を開いて曝け出した性器が、硬く張り詰めている。肉の強張りをほぐす様に、ゆるく内壁を擦りながら性器をしゃぶった。
「あ、ああ」
 首を反らし、阿紫花はシーツを掴み色めいた低い吐息を洩らす。達するのを耐えているのだろう。後孔の筋肉がひくついている。
 指一本しか入れていないのだが、阿紫花は左手で左の尻の肉を割り拡げた。
「も……入れ、ていい、から」
 まだだろう、とジョージが言うと、
「イっちまう……」
 と、囁いた。
 ぞくぞく、と自分の背筋が震えるのを、ジョージは感じた。
 後孔を開かれ、ローションに塗れた其処を晒し、快楽にこそ耐える姿など、阿紫花が女には見せない痴態だろう。まして行きずりの男や暴漢どもに、見せる姿ではない。自分と阿紫花は同じ「男」、と言い切るにはセクシャリティの差があり過ぎるが、それでも「人間」として一般的な知識と経験則で理解できる。
 これは自分にだけ見せる顔かも知れない、という事。体と、思考のどこか奥深い部分を開放した相手にだけ見せる。そういう希少なモノかも知れない。
「……まだだ」
「ンッ……!」
 阿紫花の膝を割り開き、ぴたりと体を合わせてまるで性交の真似事のように、指を出し入れする。指を増やしてもさほど抵抗しなくなった肉の感触を確かめる。
 3本の指で掻き回すように拡げられている間、阿紫花は耐えてただしがみついていた。時折引き攣るような声で息を吐き、嫌々と首を振り。
「あ、あ、ジョージッ、そこばっか、嫌ッ……ダメ、ダメ、そこ押されっと、あたしッ」
 がくがくと腰を揺らし、阿紫花は耐え切れないとでも言うように叫ぶ。
 阿紫花の反応に意識を持っていかれていたジョージは気づき、息を呑み動きを止めた。
「あ……、ふあ」
 阿紫花の体の強張りが弱まり、荒く短い呼吸を繰り返す。
 達しそうな熱をやり過ごす事も出来ない。
「……焦らしてん、ですかい」
 両手で顔を覆い、阿紫花は指の下から睨むようにジョージを見上げる。潤んだ目だ。いつものガンくれる睨みではない。いつでも色事の匂いを予感させる目ではあるが(阿紫花にその気はなくとも)、その目が今ははっきりと熱を帯びて濡れている。とまどいと羞恥すら滲ませて。
 はあ、と。
 吐く必要の無い二酸化炭素をジョージは吐く。
 ため息や嘆息ではない。ただ「何となく」そうしてみたくなった。すると欲情が急に鮮明に意識出来たから不思議なものだ。一瞬だけ、獣になった気さえした。(なったとしても機械仕掛けの獣など滑稽なだけだろうが)
 高ぶった自身を掴んで、下着から引きずり出した。
 勃ったせいで窮屈だったのが楽になったせいだろう、引きずり出されたそれは充分な硬度を保ちつつある。すぐ入れられそうなほどだ。
 阿紫花の顔を見ると、咽喉仏が上下に動いていた。息か唾液か飲み込んだのだろう。
「やっぱ、結構デケエ」
「……知らん。他人の性器など見ない」
「そりゃそうでしょうけど。……」
 ごくり、と今度は音が聞こえる大きさで、阿紫花が咽喉を鳴らす。まるで猫だ。性的でならない。
「……舐めるか?」
「……」
 ジョージが膝立ちでそう問うと、阿紫花は身を起こした。勃起した性器に顔を寄せる。
 阿紫花はニヤケ顔で、
「ちょいと、だけ……すぐ入れてくだせェよ」
 先端を口に含み、舌先で舐めた。
「……しょっぺェ」
 味を確かめるように、阿紫花は先端を舌で弄り続ける。
「あんたの、……味……」
「……アシハナ、もういい。やめろ」
 阿紫花の口から引き抜き、
「入れたい」
「……どうしやす?」
 お前の顔を見たまましたい、とジョージが言うと。
「へへ……」
 何故かひどく嬉しそうに、阿紫花はニヤケて笑った。 


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