変なタイトルで申し訳ない。
未成年者閲覧禁止。一人上手な話。
未成年者閲覧禁止。一人上手な話。
温めておきました。
阿紫花が背中から抱きついてきても、最新型をさんざカスタマイズしたPCに向かったままジョージは振り返らなかった。
阿紫花は抱きついたまま、
「まァだなんかやってんで?お気に入りですもんねえ、この四角い箱」
買ったその日に、不必要なまでにスペックアップしたPCだ。本人いわく、「軍のコンピュータにも進入できる」らしいが、その必要もないらしい。なぜ無駄な改造をしたのか、阿紫花とギイが問うと「この屋敷のコンピュータに合わせた」との事だ。
屋敷のコンピュータと競合させる理由を問うと「技術に自信がある人間は、ラフマニノフやリストの練習曲を好むのさ」と、よく分からない事を言った。ギイが「だからメトロノームって言われるのさ」と小声で皮肉ったが、ジョージは気付いていない。
「また酒か。毎晩よく飽きないな」
「へへ……。女と酒がある地獄は極楽になるが、ねえなら極楽も地獄なのさ。……そんでアンタがいりゃ、完璧ってなモンで。神さんなんかいらねえくらい……」
ジョージの耳裏を舐めながら言ってみるが、当のジョージは動かない。
「寝る前に資料に目を通しておきたいんだ。ベッドを温めておいてくれ」
「ホリディ・イン(英国のホテルチェーン)みてえに?お仕着せのパジャマ着てビニールのキャップ被って?そんでアンタがベッドに来たら追い出されるんで?ホテルの従業員みてえに」
「従業員ほど働いてくれるならそうしてくれてもいいがな。ベッドメイキングもしてくれないんだろう?精々、ペットだな。私が子どもの頃は、老人は冬はネコを抱いて寝ていたな。おい、君はノミやダニはいないよな?」
「いればダニ取りで毎晩洗ってくれるんですかね。いねえよ、毛ジラミもいねえ。……馬鹿らし。あたしはネコじゃねえや」
ジョージを立ち上がらせる事を諦めて離れた阿紫花は、そのままジョージの寝室へ向かう。その背中に、振り向かないジョージが声をかける。
「シャワーは浴びてから入ってくれよ」
声を出さずに阿紫花は手を振った。
体を洗わずにベッドに入れるなら、大分楽だ。腹の中まで洗ってからでないと、ベッドはご一緒したくない。
「あ~あ、面倒臭ェ。……」
風呂上りに頭を拭きながら呟く。別にジョージにそれを強制されているわけではない。そうした方が気が楽なだけだ。弄って手が汚れると集中できないし、そういう趣味も無い。むしろ嫌っている。
入れずに済ませる事も出来るが、それだとお互いに物足りない。
「……仕方ねえな」
バスローブに手を通し、髪を乾かさずにバスルームを出た。
暖房をかけておいたが、効きが悪いようだ。石造りな上に、暖房器具がいささか古い。使わない暖炉と、セントラルヒーティングがあるだけだ。セントラルヒーティングでは事足りぬような急激な冷気は暖炉で補うしかない。
既に22時だ。メイド人形の一体に命じて火を起こさせてもいいが、そんな面倒をしてまでぬくもる気にもならなかった。吐く息が白いが、ベッドに入れば何とかなる程度の室温だ。
阿紫花はベッドに潜り込んだ。シーツが冷たい。テレビでもあれば寒さもごまかせるだろうが、ジョージの部屋にはテレビが無い。
煙草を吹かしても咽喉が冷えるだけだ。何か酒でもないものか、とサイドテーブルの引き出しを開けた。
整理整頓された中身だった。ペンや便箋、メモ帳がきちんとしまわれていた。聖書が入っていないのが不思議なほどだ。
「……ん?」
大きな戸の奥に何かある、と思って手を差し入れた。
コンドームとチューブのジェルだった。英語の説明書きがしてあるから全部は理解出来ないが、おそらくアナル用なのだろう。
なんだかんだ言って用意していたのか、と思うのと同時に、ゴムを使わない癖に持っている理由が気になった。阿紫花との際の念のためだろうが、女を相手に、という事も考えられなくはない。
「……」
少しばかり沸いて出た嫉妬に、阿紫花はイラつく。自分だって女を買うくらいする。同じ事をしてもされても、互いに干渉する問題ではないはずだ。
それなのに苛つく理由を言葉に出来ず、なんでえ、と悪態をついて呟いて、ゴムを放り投げた。ベッドにもう一度潜り込み、枕に顔を埋めた。
ジョージの匂いがする。香水の残り香じみたかすかな匂いで、不快ではない。
「……遅ェよ」
持ち主がいないベッドに独りで寝るのは、いささか虚しいものだ。いつまで待たされるのかは分からないが、阿紫花は確かに苛つき始めていた。
ジョージのベッドで、ジョージの匂いに包まれているのに、ジョージがいない。兆しを見せる熱を持て余しているのに。
ふと視線を移すと、枕元にチューブが落ちていた。ヒワイなショッキングピンクで『LOVE』なんとか、と書かれている。
一人で始めてしまおうか。
コレを手指で塗りこめて、ベッド中汁まみれにして、もう終わってんだ、と汚れたベッドで言ってやったら、どんなツラするだろう。悔しい顔をするだろうか。
中身は水性だったらしい。掌にたっぷり出して、練るように音を立てさせてみた。かなり粘る。
仰向けに寝て、その手で性器を擦った。気持ちいい。これだけでイッても構わないくらいには。
この感触が物足りないわけではない。前だけでも充分快感は得られるし、後ろに突っ込まれる苦しさがないだけ気も心も体も楽だ。
しかし腹の奥まで突かれて掻き回されて、苦しくて眩暈がしそうな中でイくのも、嫌いではない。むしろ好きだ。相手がジョージならばなおさら。
「……っ」
指先を潜り込ませ、前立腺をそっと押し上げた。ぴく、と性器が反応する。
--性器を擦りながら、何度も出し入れして指を増やして拡げた。荒い息で何度も。無愛想な堅物を思い出しながら。
事が始まるまでが遅い癖に、一度始まると終わらせられない不器用な仕儀を思い出す。一度終わってももう一度。何度も。何度も。
「……ふ、っ……」
疼く其処を拡げながら、何度も思い出す。その度に押し拡げた部分がヒクついて音を立てる。
物足りない。いつもなら、上昇と下降を繰り返すように苦しいほど内部を突かれて、どうにかなりそうな頭でイくのに、それがない。
「ふっ、んんっ……」
顔を動かして枕に鼻先を押し付けて、その匂いを吸い込んだ。馴染みのある、香水の残り香と有機的な体臭が混ざった匂いだ。
「あ、ああ」
匂いを吸い込んで、手をすばやく動かすと目の奥が瞬いた。くらくらする。気持ちいい。枕カバーを口に咥え、声を殺した。
指じゃ届かない。いつものようにもっと奥まで貫かれる様を思い出す。
物足りない。
イけない。
「……!」
欲しいのは、もっと太くて確かな--。
タスクバーの時計を見ると、23時十分前になっていた。
「あ、いかん。阿紫花を待たせすぎた」
口に出したが、それほど悪いと思っている訳ではない。
新しいPC端末を使っていると時間を忘れてしまいそうになる。何でもチューンナップしてカスタマイズするのが好きな性質だと最近知ったが、自分の手で性能を上げてやった端末はやはり優秀で使い勝手も良く、愛着が生まれるものだ。自分の手で組み立て、ソフトまで改造して、オーダーに忠実なシステムを作り出す快感は、きっと人形使いなら分かるはずだ。
(アシハナも、もう少し現代的な機械に触れればいいのに)
廊下に出て寝室に向かう。深夜なので薄暗い。別に真っ暗でも見えるが、小さな灯りが点いていた。
(自分の手で容量を増やして、システムを組む楽しみはいいものだ……。自分の好みに仕立て上げる過程が大事なんだ。エラーや不具合と戦いつつ、最高の形に仕上げる……。演奏と似ているじゃないか。私は根っからピアノが好きなんだな……あ)
ある事を思い出して、ジョージは固まりかけた。
思い出すのは、切れ長の目をしたアメリカ人の女のセリフだ。
『一度にたくさん使わないようにネ!ヤリ過ぎでバカになるとアレだから、塗るのは少しだけでいいからネ!気付かれないように使うとイイよ!コレで阿紫花をアタシの分まで可愛がってよ★』
(この間ヴィルマから貰った催淫剤入りのチューブがサイドテーブルの奥にしまいっぱなしだ……。ゴムも貰ったが、使わないし……。大体最初から調子を合わせるようなクスリが入ったモノなど、必要ないだろう。何に使うのだ?日頃から行為に不都合を感じていないというのに……)
日頃から相性はいいつもりだ。
きっと阿紫花は待っているか、寝てしまっているだろう。謝って一緒に寝よう。
微笑みながら、ジョージは寝室の扉を開けた。
「……あ、……いら、しゃい」
阿紫花は起きていた。
サイドに押し開いた足の間をしとどに濡らし、立ち上がったソレをさすりながら、後孔を3本の指で拡げた姿で。
息を呑んで凝視する視界に、あのチューブのジェルが飛び込んできた。サイドテーブルの上に、蓋を亡くして、大分使ってしまったらしくへこんだ腹を見せて。
立ち尽くして声を失っているジョージに、阿紫花は咽喉をそらして微笑み、
「ベッド、……暖めときやしたぜ。……っん」
語尾が吐息混じりになったのは、後孔に潜り込ませた指が止まらないせいだろう。
「ついで……に、こっちも……」
性器を擦っていた手を離し、左手で尻肉を拡げて見せた。
ジェルでぬらぬらと照る粘膜から筋が垂れて、シーツを濡らした。拡げられて柔らかくなった其処が、時折ヒクついて、呼吸しているかのように蠢いている。
「なあ……早く、」
表情も其処も、すっかり待ち焦がれているご様子だ。
(……どうして、こんな事に)
ジョージは大仰にため息をする。
自分がいない間に、チューブをイタズラしてこんな事になっているとは思わなかった。英語が詳しくない癖に、なぜチューブを使ってしまったのだ。しかも、微量しか使うべきではないモノを大量に使って。
チューブをくれた時の、ヴィルマの言葉を思い出す。
『もしいっぱい使っちゃった?え~、何、使う気満々じゃん。う、ウソだって。分かった、謝るよ……。もし使いすぎたら、』
ジョージのため息から、自分を呆れていると思ったのだろう、阿紫花が縋るような潤んだ目で見上げてくる。
「ジョー、ジ……、中、熱くて、なんか、いつもと違い、やが……っ、はあ、はあ、……」
『腰抜けても収まンないかもねー★』
「中、動いてるみてえ……も、アンタの、……太いの、突っ込んで……ッ!」
--自分の中の何かが切れる音を、ジョージは聞いた気がした。
そもそも自分はカスタマイズしたり、前戯に時間をかけるのが好きで、感じている顔を見たり、イク姿を見るのが特別好きなのだ。最初から用意された据え膳よりは、だんだん具合がよくなっていって耐え切れなくなって喘ぐのを相手にする方が絶対的に楽しいと思っていたのに。
「……そんなに、待ち遠しかったのか?」
サングラスを外し、サイドテーブルの上に置いた。
コートのボタンを外す。
「一人でイタズラするようなヤツには、手加減しないよ」
いつもなら、阿紫花は逃げようとして抵抗する事もあるのに、今日は、
「しねえで……いいから……ブッ壊れるくれえ、入れ、……」
肉を拡げて、阿紫花は言った。空気に晒された内部が、待ち焦がれるように蠢いている。
「……!」
脱ぎかけのコートを肩に引っ掛けたまま、ジョージは覆い被さった。
「……腰、痛い」
青い顔で阿紫花は言った。起き上がる事も出来ないらしい。
「だ、大丈夫か……?」
「これが大丈夫に見えるなら、その銀目くり抜いてパチンコ玉に混ぜてやっからな」
--抜かずに六時間以上ひたすら好き勝手にされていた阿紫花は、憔悴しきっていた。青いげっそりとやつれた顔だ。
「なんで……なんであんなしつこくやりまくってんだよ、アンタは!」
「……」
催淫剤の入ったジェルは、阿紫花の粘膜に触れるジョージのブツにも確かに作用していた様で。
(アレは不思議な感じだ……。アシハナの内部もスゴかったし……)
効能は大したものだが、二度と使う事は出来ないだろう。
「う、でかい声出したら吐きそう……」
阿紫花の負担が大きすぎるようだ。
まあ、どうせ二日もすればまたネコのようにじゃれてくるのだろうが。
「……水でも持ってこさせよう。何か食べたいものは?水分は水でいいのか?」
「酒飲みてえ」
「却下。水にしろ」
背後で阿紫花が、「ちぇー」と言っているのが聞こえる。
「ぼやくな。仕方ないから、今日はここにいるよ。……」
「え?あのパソコンでなんかしなくていいんで?」
「端末はまだあるんだ。ノート型のもあるし、どれを使ってもどこでだって出来るようにしてあるさ」
「ふ~ん。……」
「端末はいくらでもあるが、君は一人しか居ないからな。私もここにいるしかないだろう」
扉を閉める寸前で、ジョージが振り返らずに言った。
「……」
扉が閉まって、すぐ。
心底嬉しそうにニヤニヤしながら、阿紫花はベッドの上で何度も寝返りを打つ。
昨日の温もりの残るシーツに顔を埋めて、何度も微笑った。
END
阿紫花が背中から抱きついてきても、最新型をさんざカスタマイズしたPCに向かったままジョージは振り返らなかった。
阿紫花は抱きついたまま、
「まァだなんかやってんで?お気に入りですもんねえ、この四角い箱」
買ったその日に、不必要なまでにスペックアップしたPCだ。本人いわく、「軍のコンピュータにも進入できる」らしいが、その必要もないらしい。なぜ無駄な改造をしたのか、阿紫花とギイが問うと「この屋敷のコンピュータに合わせた」との事だ。
屋敷のコンピュータと競合させる理由を問うと「技術に自信がある人間は、ラフマニノフやリストの練習曲を好むのさ」と、よく分からない事を言った。ギイが「だからメトロノームって言われるのさ」と小声で皮肉ったが、ジョージは気付いていない。
「また酒か。毎晩よく飽きないな」
「へへ……。女と酒がある地獄は極楽になるが、ねえなら極楽も地獄なのさ。……そんでアンタがいりゃ、完璧ってなモンで。神さんなんかいらねえくらい……」
ジョージの耳裏を舐めながら言ってみるが、当のジョージは動かない。
「寝る前に資料に目を通しておきたいんだ。ベッドを温めておいてくれ」
「ホリディ・イン(英国のホテルチェーン)みてえに?お仕着せのパジャマ着てビニールのキャップ被って?そんでアンタがベッドに来たら追い出されるんで?ホテルの従業員みてえに」
「従業員ほど働いてくれるならそうしてくれてもいいがな。ベッドメイキングもしてくれないんだろう?精々、ペットだな。私が子どもの頃は、老人は冬はネコを抱いて寝ていたな。おい、君はノミやダニはいないよな?」
「いればダニ取りで毎晩洗ってくれるんですかね。いねえよ、毛ジラミもいねえ。……馬鹿らし。あたしはネコじゃねえや」
ジョージを立ち上がらせる事を諦めて離れた阿紫花は、そのままジョージの寝室へ向かう。その背中に、振り向かないジョージが声をかける。
「シャワーは浴びてから入ってくれよ」
声を出さずに阿紫花は手を振った。
体を洗わずにベッドに入れるなら、大分楽だ。腹の中まで洗ってからでないと、ベッドはご一緒したくない。
「あ~あ、面倒臭ェ。……」
風呂上りに頭を拭きながら呟く。別にジョージにそれを強制されているわけではない。そうした方が気が楽なだけだ。弄って手が汚れると集中できないし、そういう趣味も無い。むしろ嫌っている。
入れずに済ませる事も出来るが、それだとお互いに物足りない。
「……仕方ねえな」
バスローブに手を通し、髪を乾かさずにバスルームを出た。
暖房をかけておいたが、効きが悪いようだ。石造りな上に、暖房器具がいささか古い。使わない暖炉と、セントラルヒーティングがあるだけだ。セントラルヒーティングでは事足りぬような急激な冷気は暖炉で補うしかない。
既に22時だ。メイド人形の一体に命じて火を起こさせてもいいが、そんな面倒をしてまでぬくもる気にもならなかった。吐く息が白いが、ベッドに入れば何とかなる程度の室温だ。
阿紫花はベッドに潜り込んだ。シーツが冷たい。テレビでもあれば寒さもごまかせるだろうが、ジョージの部屋にはテレビが無い。
煙草を吹かしても咽喉が冷えるだけだ。何か酒でもないものか、とサイドテーブルの引き出しを開けた。
整理整頓された中身だった。ペンや便箋、メモ帳がきちんとしまわれていた。聖書が入っていないのが不思議なほどだ。
「……ん?」
大きな戸の奥に何かある、と思って手を差し入れた。
コンドームとチューブのジェルだった。英語の説明書きがしてあるから全部は理解出来ないが、おそらくアナル用なのだろう。
なんだかんだ言って用意していたのか、と思うのと同時に、ゴムを使わない癖に持っている理由が気になった。阿紫花との際の念のためだろうが、女を相手に、という事も考えられなくはない。
「……」
少しばかり沸いて出た嫉妬に、阿紫花はイラつく。自分だって女を買うくらいする。同じ事をしてもされても、互いに干渉する問題ではないはずだ。
それなのに苛つく理由を言葉に出来ず、なんでえ、と悪態をついて呟いて、ゴムを放り投げた。ベッドにもう一度潜り込み、枕に顔を埋めた。
ジョージの匂いがする。香水の残り香じみたかすかな匂いで、不快ではない。
「……遅ェよ」
持ち主がいないベッドに独りで寝るのは、いささか虚しいものだ。いつまで待たされるのかは分からないが、阿紫花は確かに苛つき始めていた。
ジョージのベッドで、ジョージの匂いに包まれているのに、ジョージがいない。兆しを見せる熱を持て余しているのに。
ふと視線を移すと、枕元にチューブが落ちていた。ヒワイなショッキングピンクで『LOVE』なんとか、と書かれている。
一人で始めてしまおうか。
コレを手指で塗りこめて、ベッド中汁まみれにして、もう終わってんだ、と汚れたベッドで言ってやったら、どんなツラするだろう。悔しい顔をするだろうか。
中身は水性だったらしい。掌にたっぷり出して、練るように音を立てさせてみた。かなり粘る。
仰向けに寝て、その手で性器を擦った。気持ちいい。これだけでイッても構わないくらいには。
この感触が物足りないわけではない。前だけでも充分快感は得られるし、後ろに突っ込まれる苦しさがないだけ気も心も体も楽だ。
しかし腹の奥まで突かれて掻き回されて、苦しくて眩暈がしそうな中でイくのも、嫌いではない。むしろ好きだ。相手がジョージならばなおさら。
「……っ」
指先を潜り込ませ、前立腺をそっと押し上げた。ぴく、と性器が反応する。
--性器を擦りながら、何度も出し入れして指を増やして拡げた。荒い息で何度も。無愛想な堅物を思い出しながら。
事が始まるまでが遅い癖に、一度始まると終わらせられない不器用な仕儀を思い出す。一度終わってももう一度。何度も。何度も。
「……ふ、っ……」
疼く其処を拡げながら、何度も思い出す。その度に押し拡げた部分がヒクついて音を立てる。
物足りない。いつもなら、上昇と下降を繰り返すように苦しいほど内部を突かれて、どうにかなりそうな頭でイくのに、それがない。
「ふっ、んんっ……」
顔を動かして枕に鼻先を押し付けて、その匂いを吸い込んだ。馴染みのある、香水の残り香と有機的な体臭が混ざった匂いだ。
「あ、ああ」
匂いを吸い込んで、手をすばやく動かすと目の奥が瞬いた。くらくらする。気持ちいい。枕カバーを口に咥え、声を殺した。
指じゃ届かない。いつものようにもっと奥まで貫かれる様を思い出す。
物足りない。
イけない。
「……!」
欲しいのは、もっと太くて確かな--。
タスクバーの時計を見ると、23時十分前になっていた。
「あ、いかん。阿紫花を待たせすぎた」
口に出したが、それほど悪いと思っている訳ではない。
新しいPC端末を使っていると時間を忘れてしまいそうになる。何でもチューンナップしてカスタマイズするのが好きな性質だと最近知ったが、自分の手で性能を上げてやった端末はやはり優秀で使い勝手も良く、愛着が生まれるものだ。自分の手で組み立て、ソフトまで改造して、オーダーに忠実なシステムを作り出す快感は、きっと人形使いなら分かるはずだ。
(アシハナも、もう少し現代的な機械に触れればいいのに)
廊下に出て寝室に向かう。深夜なので薄暗い。別に真っ暗でも見えるが、小さな灯りが点いていた。
(自分の手で容量を増やして、システムを組む楽しみはいいものだ……。自分の好みに仕立て上げる過程が大事なんだ。エラーや不具合と戦いつつ、最高の形に仕上げる……。演奏と似ているじゃないか。私は根っからピアノが好きなんだな……あ)
ある事を思い出して、ジョージは固まりかけた。
思い出すのは、切れ長の目をしたアメリカ人の女のセリフだ。
『一度にたくさん使わないようにネ!ヤリ過ぎでバカになるとアレだから、塗るのは少しだけでいいからネ!気付かれないように使うとイイよ!コレで阿紫花をアタシの分まで可愛がってよ★』
(この間ヴィルマから貰った催淫剤入りのチューブがサイドテーブルの奥にしまいっぱなしだ……。ゴムも貰ったが、使わないし……。大体最初から調子を合わせるようなクスリが入ったモノなど、必要ないだろう。何に使うのだ?日頃から行為に不都合を感じていないというのに……)
日頃から相性はいいつもりだ。
きっと阿紫花は待っているか、寝てしまっているだろう。謝って一緒に寝よう。
微笑みながら、ジョージは寝室の扉を開けた。
「……あ、……いら、しゃい」
阿紫花は起きていた。
サイドに押し開いた足の間をしとどに濡らし、立ち上がったソレをさすりながら、後孔を3本の指で拡げた姿で。
息を呑んで凝視する視界に、あのチューブのジェルが飛び込んできた。サイドテーブルの上に、蓋を亡くして、大分使ってしまったらしくへこんだ腹を見せて。
立ち尽くして声を失っているジョージに、阿紫花は咽喉をそらして微笑み、
「ベッド、……暖めときやしたぜ。……っん」
語尾が吐息混じりになったのは、後孔に潜り込ませた指が止まらないせいだろう。
「ついで……に、こっちも……」
性器を擦っていた手を離し、左手で尻肉を拡げて見せた。
ジェルでぬらぬらと照る粘膜から筋が垂れて、シーツを濡らした。拡げられて柔らかくなった其処が、時折ヒクついて、呼吸しているかのように蠢いている。
「なあ……早く、」
表情も其処も、すっかり待ち焦がれているご様子だ。
(……どうして、こんな事に)
ジョージは大仰にため息をする。
自分がいない間に、チューブをイタズラしてこんな事になっているとは思わなかった。英語が詳しくない癖に、なぜチューブを使ってしまったのだ。しかも、微量しか使うべきではないモノを大量に使って。
チューブをくれた時の、ヴィルマの言葉を思い出す。
『もしいっぱい使っちゃった?え~、何、使う気満々じゃん。う、ウソだって。分かった、謝るよ……。もし使いすぎたら、』
ジョージのため息から、自分を呆れていると思ったのだろう、阿紫花が縋るような潤んだ目で見上げてくる。
「ジョー、ジ……、中、熱くて、なんか、いつもと違い、やが……っ、はあ、はあ、……」
『腰抜けても収まンないかもねー★』
「中、動いてるみてえ……も、アンタの、……太いの、突っ込んで……ッ!」
--自分の中の何かが切れる音を、ジョージは聞いた気がした。
そもそも自分はカスタマイズしたり、前戯に時間をかけるのが好きで、感じている顔を見たり、イク姿を見るのが特別好きなのだ。最初から用意された据え膳よりは、だんだん具合がよくなっていって耐え切れなくなって喘ぐのを相手にする方が絶対的に楽しいと思っていたのに。
「……そんなに、待ち遠しかったのか?」
サングラスを外し、サイドテーブルの上に置いた。
コートのボタンを外す。
「一人でイタズラするようなヤツには、手加減しないよ」
いつもなら、阿紫花は逃げようとして抵抗する事もあるのに、今日は、
「しねえで……いいから……ブッ壊れるくれえ、入れ、……」
肉を拡げて、阿紫花は言った。空気に晒された内部が、待ち焦がれるように蠢いている。
「……!」
脱ぎかけのコートを肩に引っ掛けたまま、ジョージは覆い被さった。
「……腰、痛い」
青い顔で阿紫花は言った。起き上がる事も出来ないらしい。
「だ、大丈夫か……?」
「これが大丈夫に見えるなら、その銀目くり抜いてパチンコ玉に混ぜてやっからな」
--抜かずに六時間以上ひたすら好き勝手にされていた阿紫花は、憔悴しきっていた。青いげっそりとやつれた顔だ。
「なんで……なんであんなしつこくやりまくってんだよ、アンタは!」
「……」
催淫剤の入ったジェルは、阿紫花の粘膜に触れるジョージのブツにも確かに作用していた様で。
(アレは不思議な感じだ……。アシハナの内部もスゴかったし……)
効能は大したものだが、二度と使う事は出来ないだろう。
「う、でかい声出したら吐きそう……」
阿紫花の負担が大きすぎるようだ。
まあ、どうせ二日もすればまたネコのようにじゃれてくるのだろうが。
「……水でも持ってこさせよう。何か食べたいものは?水分は水でいいのか?」
「酒飲みてえ」
「却下。水にしろ」
背後で阿紫花が、「ちぇー」と言っているのが聞こえる。
「ぼやくな。仕方ないから、今日はここにいるよ。……」
「え?あのパソコンでなんかしなくていいんで?」
「端末はまだあるんだ。ノート型のもあるし、どれを使ってもどこでだって出来るようにしてあるさ」
「ふ~ん。……」
「端末はいくらでもあるが、君は一人しか居ないからな。私もここにいるしかないだろう」
扉を閉める寸前で、ジョージが振り返らずに言った。
「……」
扉が閉まって、すぐ。
心底嬉しそうにニヤニヤしながら、阿紫花はベッドの上で何度も寝返りを打つ。
昨日の温もりの残るシーツに顔を埋めて、何度も微笑った。
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※「か〇くりサー〇ス」女性向け非公式ファンサイトです。CPは「ジョ阿紫」中心。また、予定では期間限定です。期間は2010年内くらいを予定してます。
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プロフィール
名前:デラ
性別:女性(未婚)
年齢:四捨五入して三十路
備考:体力と免疫力が無い
性別:女性(未婚)
年齢:四捨五入して三十路
備考:体力と免疫力が無い
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